勉 強 法 の 真 実


国語(現代文)の真実 
 

センター試験2003年を解いてみる

次の文章は、センター試験2003年第1問(評論文)の抜粋です。

・・・この感覚とイメージの世界に生きる点では人間も動物も同じである。ところが人間はイメージに名前を付けることによってそれを固定して保存する。これが言葉の世界である。イメージはそれぞれ異なっているが、類似したイメージに対してはその類似性に基づいて1つの共通の名前が与えられる。たとえば我々の前に高い山がある。じっと見ていると類似した感覚的イメージの流れがあり、次の日に来てナガめても前日と類似した感覚的イメージが経験される。そこでその山に富士山という名前を付ける。動物と異なる人間の世界は、流動的世界を固定してその世界のものごとに名前を与える言語の世界である。確かに動物にも言葉はある。言葉とは、それによって何かを示す記号である。しかし動物の場合、類似した感覚的イメージを身振りや鳴き声で固定して表現するその言語(記号)は、必ず現在のものを指し示すことに限られている。たとえば危険を表す鳥の鳴き声は現在そうであることを離れて意味を持たないし、ベルの音が餌を指示するという記号を習得した犬にとってベルの音は今餌が出るぞという意味であり、その音をよだれを出すことなしに聞くことはできない。このような犬とベルの音の関係に対応するのが、人間の場合食事という言葉である。これは、犬に対し餌を指示するのにベル以外のものでもよかったのと同様に、別の言葉でもありえたのであるが、いったん食事という言葉に固定されると現実のすべての食事現象を表す記号となる。それは動物におけるような現在の現象だけに限らず、過去のことも未来のことも示す記号として使われる。だから、動物の言葉が現在において一対一の関係で直接に物事を示す信号であるのに対し、人間の言葉は、あらゆる時の一定の類似した現象すべてを表す一般的記号であるために特に象徴と呼ばれる。B言葉を話す人間は象徴を操る動物である。・・・

問3 傍線部B「言葉を話す人間は象徴を操る動物である」とあるが、その説明として最も適当なものを、次の@〜Dのうちから一つ選べ。

@ 人間以外の動物が目の前の現象を身振りや鳴き声で表現する信号しか持たないのに対して、人間は複数の異なるイメージを一つのイメージに集約することで、ものに名前を与えることができる。
A 人間以外の動物が一対一の関係で物事を指し示すのに対して、人間は複数の感覚的イメージから類似性を抽出することで、独自のイメージ経験の微妙なズレを解消することができる。
B 人間も人間以外の動物も感覚的イメージを表現できる点では同じだが、人間は類似した現象に名前を与えることで、時間を超えてそれらの現象を同じ言葉で指し示すことができる。
C 人間も人間以外の動物も感覚とイメージの世界を生きる点では同じだが、人間は時とともに変化するイメージに名前をつけて固定することで、一般化された記号を獲得することができる。
D 人間は人間以外の動物と異なって、経験によって獲得した曖昧なイメージに名前をつけて抽象的なイメージに統合することで、個人の経験を超えた共通の世界を出現させることができる。

さて、国語は理系科目と言いました。理系的に解いてみます。
この問いは、「傍線部の説明を選べ」ですから、「傍線部=与式 が正しく 言い換え=変形 されているものを選べ」と言っているのと同じです。
ここで、センター試験の特徴として、傍線部の前後にヒントがあるのがふつうだというテクニックを使います。
さて、
与式=「言葉を話す人間は象徴を操る動物である」
なので、与式を変形できそうな部分を探してみると・・・直前にありました。
「人間の言葉は、あらゆる時の一定の類似した現象すべてを表す一般的記号であるために特に象徴と呼ばれる」
「象徴」がダブってますね。
これを「象徴」を中心に置き換えると、
「象徴」=「人間の言葉」=「あらゆる時の一定の類似した現象すべてを表す一般的記号」=式B
となります。
これを与式に代入すると、
「言葉を話す人間はあらゆる時の一定の類似した現象すべてを表す一般的記号を操る動物である」=式C
となります。
ここまでで「時間」という条件を満たしているのはBとCのみ。
他の選択肢は「時間」の要素がありません。

次にBとCの違いを考えます。
選択肢の違いは選択肢の文末に現れます。これも覚えておくと便利です。
B・・・同じ言葉で指し示すことができる。
C・・・一般化された記号を獲得することができる。
とあります。
ここで、式C:「言葉を話す人間はあらゆる時の一定の類似した現象すべてを表す一般的記号を操る動物である」を考えます。
言い換えられているのはどちらか。文末を比べてみます。
式Cの文末「・・・記号を操る動物である。」
ここで「記号」=「言葉」であることは式Bより明らかですから、
「言葉=記号を操る」=「言葉で指し示す」なのか
「言葉=記号を操る」=「言葉を獲得する」なのかを考えればいいわけです。
「操る」は「得る」より「使う」に近いわけですから、正解は「言葉=記号を操る」=「言葉で指し示す」であるBということになります。

いかがでしたでしょうか。
ちょっとクドかったかもしれませんが、わかっていただけたでしょうか。
センター試験だけでなく、上智大学や立教大学なんかもこの方法が使いやすいと思います。
文章にすると長いですが、要は言い換えられている言葉をたどるだけのことです。
特にセンターは言い換えが傍線部の近くにありがちなので使いやすいのです。
慣れればすばやくでき、時間短縮になりますよ!

知らなかった方、使ってください。



      次のコンテンツ 国語(現代文)の正体とは?  へ



 
理念と自己紹介のコンテンツ

大学受験英語のコンテンツ

勉強法論のコンテンツ

国語(現代文)のコンテンツ
国語(現代文)とはどんな科目か - 国語は文系科目ではない?!
センター2003を解いてみる! - センターの評論文を数学的に解いてみます。
国語(現代文)の正体とは? - 国語(現代文)は、問いを解いてこそ伸びるのです。

リンク
横浜トータル アカデミー - MJの塾です。地元タウン誌に紹介されました!

賢い塾の選び方 - なるほど。

 
inserted by FC2 system